専門看護師へ看護師の資格でキャリアアップ

専門看護師は、認定看護師と同じ日本看護協会による資格ですが、認定看護師とは関係のないまた別の資格になります。認定看護師が分野別に別れているのに対して、専門看護師は個人や集団に対して看護を通した問題解決を促すのです。
この資格は、看護師が、個人や家族に対して専門性の高い高水準の看護を行うための資格であり、認定看護師と比べても資格取得者がきわめて少ないのが特徴です。資格取得に必要な養成施設が少ないのも専門看護師が増えづらい要因となっているので、今後は施設の設置などによってさらに普及を促していく予定になっている注目の看護師資格です。
専門看護師の11分野の種類

専門看護師の場合は、がん看護、精神看護をはじめとする11の分野に別れており、それに加えて「在宅看護」が最近設置されました。
今後、認定看護師のように時代背景に合わせて様々な分野が増えることが予想されます。
専門看護師 | 資格保持者 | 合格率 | 難易度 |
‣がん看護 | 435名 | 90%以上 | ★★★★★ |
がんになった患者の苦痛を取り除くことについて 専門知識を持ち、対処にあたるのが役割。 |
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‣精神看護 | 145名 | 90%以上 |
★★★★★ |
精神疾患に関する専門的知識と看護技術を持ち、 高度で適切なケアを施すことのできる看護師。 |
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‣地域看護 | 26名 | 90%以上 |
★★★★★ |
在宅看護や学校保健、産業保険などの地域に おいて必要とされる看護のスペシャリスト。 |
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‣老人看護 | 55名 | 90%以上 |
★★★★★ |
高齢者に対する看護を、スペシャリストとして 行うことを役割としています。 |
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‣小児看護 | 96名 | 90%以上 |
★★★★★ |
子どもに対する看護について、専門的な知識を もって業務にあたる看護師。 |
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‣母性看護 | 44名 | 90%以上 |
★★★★★ |
母体の予防的なこと、精神的な支えとなることを 目的に創設された資格。 |
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‣慢性疾患看護 | 84名 | 90%以上 |
★★★★★ |
患者の苦しい心情に寄り添い、ともに病気と 戦っていくことを役割としています。 |
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‣急性・重症患者看護 | 114名 | 90%以上 |
★★★★★ |
救急医療の現場で活躍することが 期待される看護師です。 |
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‣感染症看護 | 22名 | 90%以上 |
★★★★★ |
専門知識を持った看護師が感染者の 看護・予防にあたることを目的としています。 |
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‣家族支援 | 21名 | 90%以上 | ★★★★★ |
患者ではなく家族を支援するという 珍しい分野の専門看護師です。 |
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‣在宅看護 | 6名 | 94%以上 |
★★★★★ |
家にいながら療養生活を送る患者に対して、 質の高い看護を提供する役割。 |

「資格取得の条件」
- 日本の看護師免許を持っていること
- 免許取得後、実務5年以上、認定分野3年以上であること
- 専門看護分野の実務研修を受けていること
- 看護系大学院修士課程修了者であること(約2年間)
- 専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること(約6ヶ月)
主催 | 研修・受験料等 | 受験期間 |
日本看護協会 | 約100万円 | 毎年10月頃 |
保有者数 | 合格基準 | 難易度 |
約1,000人 | 90%以上 |
★★★★★ |
専門看護師の一般的な役割とは

日本看護協会は専門看護師の役割として、実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つを挙げています。
実践とは、実際の医療現場において、専門看護師としての知識を活かした看護を実践するということ。
相談とは、患者さんやその家族に対して、実務面からメンタル面まで幅広く相談に応じることです。さらに、医師や看護師だけでなく、介護士や作業療法士、カウンセラーなどさまざまな職種の専門家をコーディネートして、最善のケアが行えるようにするのが調整。疾患などを理由に差別を受けたり不便な思いをすることのないように気を配り、問題解決を行うのが倫理調整になります。
また、教育とは病院の看護レベルを向上させるために看護師に対して勉強会などを行ったり、在宅で家族が正しい看護を行えるように指導することです。さらなる医療・看護技術の発展と向上のために、研究活動を行うのも専門看護師の大切な仕事になります。
専門看護師の仕事内容

専門看護師の仕事内容は、専門分野によって異なります。認定看護師と異なるのは、患者さんへの専門的な介護というだけではなくて、患者さんと周囲の人の関わりがスムーズに行くように配慮するなど、精神的なサポートも行うことです。
たとえば、感染症看護専門看護師の場合は、もちろん感染症に関する知識なども必要なのですが、感染症にかかって隔離された患者さんが精神的な孤立状態にならないように、専門看護師が家族のような立場でケアを行います。
また、精神看護の場合は患者さんと家族との関わりをサポートすることで、よりスムーズに症状が改善するように促されるのです。
こうした専門的な介護を公的に認めることによって、周囲や患者さんからの信頼を得やすくすると同時に、その看護スキルを周囲の看護師に指導することによって看護レベルの引き上げをはかります。
専門看護師になるための費用等

専門看護師になるためには、専門領域3年間を含む5年間の実務経験が必要です。さらに、大学院に2年通って専門看護師になるための教育課程を修了し、認定審査を受験します。
大学院は国公立か私立かにもよりますが、だいたい年間100万円程度の学費がかかる上、その間は休職せざるを得ないので、やはり経済的な負担が大きいことも、認定看護師より人数が少ない理由でしょう。
さらにこの教育課程を行っている大学はそれほど多くないので近くになければ下宿するなど、生活にも多額の費用が必要になってしまいます。個人で取得するのは大変なので、資格取得のサポートをしてくれる病院を選んで資格取得を目指したほうがよいです。認定審査の際にも審査に5万円、認定に5万円の費用が必要になります。
■専門看護師資格の取得にかかる費用
専門看護師の資格取得にかかる費用一覧です。以下は学費のみなので、取得までの生活費などは入っていません。
項目 | 金額 |
入試試験料 | 約5万円 |
入学金 | 約5万円 |
授業料 | 約70万円 |
実習費 | 約10万円 |
認定審査費用 | 約5万円 |
認定費用 | 約5万円 |
合計 | 100万円以上 |
このように資格取得費用がかなり高額でかかります。その上、その際の生活費なども捻出する必要があり、200万円とも言われています。専門看護師資格取得を支援している(金額を負担している)病院がありますので、資格取得を考えたときに利用する方法がベストです。

専門看護師へ看護師の資格でキャリアアップ資格一覧
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専門看護師とは
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がん看護専門看護師
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地域看護専門看護師
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小児看護専門看護師
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感染症看護専門看護師
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家族支援専門看護師
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在宅看護専門看護師
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老人看護専門看護師
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母性看護専門看護師
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慢性疾患看護専門看護師
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急性・重症患者看護専門看護師
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精神看護専門看護師
- 転職で専門看護師支援の病院を探す方法