認定看護師へ看護師の資格でキャリアアップ

認定看護師とは、公益社団法人日本看護協会による認定看護師認定審査に合格することで認定される、特定の看護分野のスペシャリストです。
認定看護師資格は1995年に始まった制度で、キャリアアップを目指す多くの看護師がチャレンジしており、高齢化社会に向けて医療の質を改善するために現在12,000人以上の認定看護師が全国で活躍しています。
認定看護師の21分野一覧

現在、救急看護、皮膚・排泄ケアをはじめとする21の分野があり、それぞれの分野で看護技術と知識が認められた看護師だけに資格が与えられます。
がんや糖尿病、慢性心不全など幅広い疾患に関するケアが対象となっていますが、緩和ケアや認知症看護、訪問看護なども、高齢化社会の進行に向けて注目されている分野です。
認定看護師 | 資格保持者 | 合格率 | 難易度 |
‣救急看護 | 730名 | 90%以上 | ★★★★★ |
あらゆる状況下で救急看護を行うことのできる スペシャリスト看護師。 |
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‣緩和ケア | 1,295名 | 90%以上 | ★★★★★ |
疾患による身体的・心理的・社会的な問題を 早期に判断・予防し患者とQOLを向上する。 |
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‣小児救急看護 | 159名 | 90%以上 | ★★★★★ |
小児患者への適切な対応ができる 高いスキルを持つ看護師。 |
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‣新生児集中ケア | 287名 | 100%近い | ★★★★☆ |
新生児集中ケアで幅広い最新の知識と技術を持ち、 神経行動学的発達を支援するスペシャリスト。 |
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‣がん放射線療法看護 | 103名 | 90%以上 | ★★★★★ |
放射線療法の正しい知識を持ち、 安心してサポートする看護のスペシャリスト。 |
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‣がん化学療法看護 | 1,005名 | 90%以上 | ★★★★★ |
インフォームド・コンセントにおいて 専門知識を持つ看護師のスペシャリスト。 |
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‣乳がん看護 | 188名 | 90%以上 | ★★★★★ |
乳がん治療看護を含む、患者の精神的負担や 再発の不安などに対する心理的ケア。 |
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‣がん性疼痛看護 | 638名 | 90%以上 | ★★★★★ |
がん患者の疾患による痛みや精神的・ 社会的な苦痛を看護するスペシャリスト。 |
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‣慢性呼吸器疾患看護 | 57名 | 95%以上 | ★★★★★ |
間質性肺炎や気管支喘息といった疾患の 治療に臨む患者やその家族へのサポート。 |
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‣摂食・嚥下障害看護 | 373名 | 90%以上 | ★★★★★ |
摂食・嚥下障害の原因についてアセスメントし、 それに基づいた適切なサポートをしていく看護。 |
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‣感染管理 | 1,611名 | 90%以上 | ★★★★★ |
医療施設を利用する全て人たちを感染から 守るためのスペシャリスト看護師 。 |
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‣透析看護 | 151名 | 90%以上 | ★★★★★ |
透析治療という分野に特化して個々の患者さんに 最適な物理的・精神的なケアをする看護師。 |
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‣手術看護 | 235名 | 90%以上 | ★★★★★ |
手術という特殊な医療現場における 知識と技術を持つスペシャリストの看護師。 |
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‣糖尿病看護 | 438名 | 90%以上 | ★★★★★ |
糖尿病患者に対する、生活習慣や食習慣に 関する指導・支援を行うスペシャリストの看護師。 |
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‣集中ケア | 750名 | 90%以上 | ★★★★★ |
命の危険がある患者とその家族に対する 看護のエキスパート看護師。 |
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‣不妊症看護 | 121名 | 90%以上 | ★★★★★ |
不妊症に悩むカップルに適切なアセスメントを行い 質の高い看護支援を行うスペシャリスト。 |
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‣慢性心不全看護 | 60名 | 100%近く | ★★★★☆ |
心不全憎悪の回避や予防をサポートする 役割を担うスペシャリスト看護師。 |
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‣訪問看護 | 333名 | 90%以上 | ★★★★★ |
医師や医療機器のない一般家庭で医療従事者 としての看護のスペシャリスト。 |
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‣皮膚・排泄ケア | 1,778名 | 90%以上 | ★★★★★ |
創傷ケア・ストーマケア・失禁ケアの 3分野をカバーするその道のエキスパートです。 |
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290名 | 90%以上 | ★★★★★ | |
脳卒中によって機能障害を抱えた患者のQOLを 向上させ生活を再構築させる看護 スペシャリスト。 |
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‣認知症看護 | 262名 | 90%以上 | ★★★★★ |
認知症の過程と予後、患者のQOLや尊厳を守り 発症から終末期までの看護スペシャリスト。 |
「資格取得の条件パンダ!」
- 日本の看護師免許を持っていること
- 免許取得後、実務5年以上、認定分野3年以上であること
-
認定看護師教育機関(課程)修了していること
(6ヶ月615時間以上) - 教育期間は6ヶ月以上、昼間に連続した教育であること
認定看護師の役割

日本看護協会によると、認定看護師の役割として、実践・指導・相談の3点を挙げています。
実践とは、実際の医療の現場で高度な看護技術を発揮すること。認定看護師は、専門分野において高い看護技術を認められており、その技術を活かしてワンランク上の看護を実施するのも認定看護師の役割です。指導とは、病院内で勉強会や研修会を行うことによって、学んだ知識や技術を周囲へ伝えるなど、指導者としての役割を果たすということです。また、地域で講演などを依頼されることもあります。相談とは、その分野のスペシャリストとして、同僚看護師や後輩看護師の悩みを聞き、アドバイスを行うのも認定看護師の役割です。
つまり、認定看護師がリーダーシップを発揮して各病院で看護のレベルを引き上げることで、よりよい看護の実践につなげるのがその狙いなのです。
認定看護師の一般的な仕事内容

認定看護師の仕事内容は、看護分野によって異なりますが、基本的には通常の看護業務に加えて、認定看護師としての活動が加わります。
たとえば、救急看護の分野の認定看護師であれば、救急患者に対して速やかに適切な処置を行います。さらに多数の救急患者が発生している現場では、それぞれに必要な措置と家族へのサポートを行います。
また、院内で専門分野の看護についての講習会を行ったり、後輩の指導を行ったりするのもその役割です。必要に応じて、院外での講演や執筆活動を行ったり、自治体と協力して災害時などの看護に関するプランニングを行ったりすることもあります。
特定部門の看護エキスパートとして院内で活動するだけでなく、院外で幅広く活動することが、認定看護師の特徴とも言えるでしょう。
認定看護師になるためには

認定看護師になるためには、まず看護師(もしくは保健師・助産師)の資格を持ち、5年の実務経験があることが条件になります。
また、その5年のうち3年間は専門分野での経験である必要があります。さらに、認定看護師教育機関で6ヶ月・600時間以上の認定看護師教育課程を修了、その後認定試験に合格することで、認定看護師として登録されます。
最後の認定試験はそれほど難しいわけではなく、合格率は90%。それでも認定看護師取得が難しいと言われるのは、取得を目指す分野で3年間の実務経験というのが意外とクリアできない人が多いためです。
配置転換などが行われることの多い総合病院では、3年間希望の診療科にいることが意外と難しく、さらに6ヶ月間の教育課程の授業料や入学金、審査費用などで約100万円必要になるため、職場のバックアップがないと厳しいでしょう。
■認定看護師取得にかかる費用
認定看護師取得にかかる費用一覧です。
項目 | 金額 |
入試試験料 | 約5万円 |
入学金 | 約5万円 |
授業料 | 約70万円 |
実習費 | 約10万円 |
認定審査費用 | 約5万円 |
認定費用 | 約5万円 |
合計 | 100万円 |
このように資格取得費用がかなり高額でかかります。そのため、認定看護師資格取得を支援している(金額を負担している)病院があります。
