
入れ替わりの激しい総合病院の看護師であれば、4年目・5年目になってくると、中堅看護師扱いになってきます。一般企業であれば4、5年目はまだ若手扱いになるかもしれませんが、看護師の業界においてはそうもいきません。そして、この年代特有の悩みと言えば、いたるところでの「板挟み」と、今後の進路に関することではないでしょうか。
日々追われる仕事に加え、人間関係においては常に板挟みなわけですから、精神的な疲労も限界に達し「転職してやるー!」と勢いあまり、思わず看護師転職サイトに登録してしまった人も少なくないはずです。
このページでは、そんな中堅看護師のリアルな板挟みの実態と、そんな状況から打破したい中堅看護師の転職注意点について紹介させていただきます。
中堅看護師のリアルな板挟み事情

看護師は常に、主治医と患者さんとの板挟みです。言葉足らずの医者と、医者には何も言えないので看護師に不満や不安を伝えてくる患者との板挟みになって振り回されることも少なくありません。
また、時には患者さんとその家族の間に立って意思疎通をはからなければならない場面もあり、ある意味「板挟みになること」も看護師の仕事の内だ
と思って間違いなさそうです。
そして、3年・4年・5年と経っていくうちに医者と患者の間だけではなく、「後輩と先輩」や「患者さんと先輩」の板挟みになる場面も増えてくるのが自然です。ここでは、当時、現役の中堅看護師だった私が経験したリアルな板挟み事情を3選ご紹介させていただきます。
後輩看護師と先輩看護師の板挟み

A看護師は頭の回転が人一倍良く、自分にも他人にも厳しいナースです。後輩に厳しく注意するのはもちろんのこと、自分より一回りも二回りも年上の先輩看護師にまで厳しい指摘をすることは日常茶飯事のことなので誰も驚きません。
新人教育係のトップでもあるA看護師は、1年目看護師が思ったように成長してくれないことに常々ご立腹でした。そして、そんなAナースのお怒りに更に追い討ちをかけて彼女を苛立たせる出来事が起こってしまったのです。
1年目看護師のとんちんかんな質問に爆発

A看護師が爆発してしまったのは、もうすぐ2年目に差しかかろうとしている1年目看護師が「先生達の回診って何時から始まっているんですか?」という、質問をしてしまったことがきっかけですた。
確かに「そんなことも分からずによく1年間やってきたなぁ」と、他のスタッフも空いた口が塞がらなかったのですが、A看護師からすればそんな軽い気持ちでは済まされません。当時の1年目看護師を1人1人呼び出し「もう我慢ならない!」といったように、とことん彼女達を説教しました。
鬼の形相をした1年目看護師

私は、後輩のB看護師がA看護師に呼び出された日にたまたま居合わせてしまい、遠目で2人の様子を見ながら電子カルテに向かって黙々と仕事をしていました。B看護師は普段職場で泣いたりするようなタイプではなかったのですが、A看護師の説教が終わる頃には嗚咽しながら号泣していました。
しかしよく顔を見てみると、鬼のような形相をしており、その状態のまま私の隣に座って看護記録を始めました。
どちらの気持ちも分かるが故に何も言えず・・・

B看護師はキーボードにその苛立ちをぶつけるかのように激しく音を立てて打ちつけ、嗚咽しながらも1人でブツブツと先輩の悪口を言っていました。しばらくしてB看護師が帰った後、今度はA看護師が私の隣に座り「あの子、ちゃんと反省してた?」と尋ねてきました。まさか「先輩の悪口を言っていました」と答えるわけにもいかないので、「とにかくすごい泣いてましたね〜」と曖昧な返答をしながら適当に話を合わしておくことしかできませんでした。
先輩の苛立ちも、後輩のやるせなさも痛いほど分かる私は、結局何も言うことができませんでした。
患者さんと先輩看護師の板挟み

主任のE看護師はスタッフに対しても患者さんに対しても、かなり言い方が「キツイ」タイプでした。
主任になるくらいですから知識も技術も申し分ないのですが、残念ながら患者さんからのクレームも多かったのです。
私が当時勤めていた病院には、いわゆる「VIP」の患者様が大勢いました。特に多かったのは会社の役員やその奥様方です。そういった方達は、普段上から目線で物を言われることがほとんどないので、上手く関わらないとすぐにクレームになるような始末でした。
何でも言いやすい中堅看護師が主任のクレームをつけられる

ある夜勤の日、私の受け持ちの中に裕福なご家庭の奥様の方がいらっしゃいまいた。その方は神経質なタイプで、安定剤や睡眠剤を内服していました。
その背景だけ見ても対応に要注意なのはすぐに分かりそうなものですが、E看護師はその患者さんに対してもいつもの態度で接してしまったのです。
その後すぐにナースコールがあり、私が部屋を伺うと患者さんはご立腹な様子で「さっきのナースの人の名前はなんですか?!なんであんな言い方するんですか??」と言ってきたのです。患者さんからすれば、Eナースに直接文句を言う勇気はなかったので言いやすそうな私に訴えるしか術がなかったのでしょう。
主任からは患者の悪口を言われる始末

私はこれ以上ここで大きな騒ぎにはしたくなかったので、とにかく謝罪しその場を落ち着かせました。それからナースステーションに戻ると次は何も知らないE看護師から「あの〇〇さんて患者さん、おかしくない??」と言われる始末でした。ひとまずその場は話を合わせ、それからその患者さんのナースコールは全力で私が取るようにし、絶対に2人が顔を合わせないようにしました。
ただでさえ夜勤は大変であるにも関わらず、主任と患者さんの関係性に神経をすり減らし、普段の倍以上に夜勤の疲れが出てしまったのは言う間でもありません。
先輩看護師と師長の板挟み

最後にご紹介する板挟み事例は私の同期のC看護師の経験談です。
当時C看護師は5年目であり、仕事は出来るけれど穏やかなタイプでもあるため、どの年代の看護師達からも好
かれていました。それは師長も例外ではなく、C看護師はよく師長の愚痴の聴き役になっていました。
師長と中堅看護師は相性が良い

中堅層までの看護師達は比較的、師長に順従ですが、主任一歩手前くらいの年代になってくると師長に楯突くこともいとわないスタッフが多くなってきます。
師長自身も、その年代の看護師達に嫌われていることはよく分かっているので、中堅看護師との方が一緒に居やすいのです。
少し大人気がない師長

ある日勤の日、ベッドコントロールの問題で先輩のD看護師が師長に食ってかかっていました。師長はその立場上、意見を譲ることはできません。
しかしD看護師も折れるタイプではないので結局2人は和解しないまま次の日を迎えました。翌日、D看護師は日勤リーダーを務めていたのですが、師長はD看護師がいる前で堂々とCナースに即入依頼を伝えてきたのです。
おそらく前日の件があって気まずかったのかもしれませんが、その様子は誰の目から見ても不自然でした。
誰にでも好かれる看護師は気苦労が絶えない

C看護師は当初、自分の真後ろにD看護師がいることに気付いておらず、「自分は伝言を頼まれている」と思っていたのです。そして師長が去って行った後、D看護師もその場にいたことに気付き、かなり気まづい雰囲気が流れました。
D看護師は「どうして私じゃなくてCさんに言うのよ!」と激怒し、C看護師は「何でですかね〜?Dさんがいることに気付かなかったんですかね・・・?」と答え、静かにその場を退散しました。
C看護師のように、誰からも好かれるタイプはどうしても板挟みになりやすいですよね。そう考えると多少横柄なくらいが、一番ストレスを溜めずに仕事ができるのかもしれません。
板挟みの中堅看護師の転職注意点は?

中堅看護師世代は、一番転職をする人が多いのではないでしょうか。
4~5年同じ病棟でやっていれば仕事にも飽きが生じてきますし、それこそ板挟みの苦労からもそろそろ解放されたいと強く感じるはずです。また、4~5年経てば看護師として他の病院でもやっていくことができる自信も持てるため、新たな環境に身を置こうとする人が増えるのでしょう。
しかし、中堅看護師の転職には中堅看護師ならではの注意点があることを知っておかなければなりません。
中堅看護師の転職は師長の強い引き止めにあう

中堅看護師はその病棟での即戦力です。そして、板挟みになるくらいですから上のスタッフからも下のスタッフからも信頼が置かれ、師長としては何としてでも手放したくない存在です。
そのため、曖昧な転職理由では師長の強い引き止めからは逃れられません。師長は、今まで何人ものスタッフを引き止めているはずですから基本的に一枚上手なのです。
今の病院と次の病院の板挟み?!

中堅看護師が師長へ転職の報告をする際は、必ず引き止められるであろうことを念頭に置き、強い転職の意思を持って師長室のドアをノックしましょう。
ベストなのは、次の転職先を決めた状態で報告をすることです。次が決まっているのであれば、師長もあまり強くは引き止めにこれません。しかし、よっぽどあなたが手放したくないスタッフである場合は、それでも強い引き止めにあう場合がありますので、今の病院と次の病院の板挟みになる可能性もあるのです。
中堅看護師はどこに行っても即戦力が求められる

中堅看護師は、たとえ他の病院の未経験の科に行ったとしても、必ず即戦力が求められることを念頭に置き転職活動をすすめてたいく必要があります。
「教えてもらってないのでできません」というのは、中途の看護師は決して使えないフレーズなのです。未経験の科へ挑戦することはキャリアアップの面でも非常に素晴らしいことですが、人一倍に勉強をする覚悟も必要なのです。
まとめ

看護師の板挟みで一番ストレスなのは、スタッフ間の板挟みにおいてではないでしょうか。「患者さんとその家族」・「患者さんと医者」の間に立たなければならないのは理解できますし、どんなにこじれたとしてもそれも仕事の内だと割り切れます。
しかし、スタッフ間の板挟みではどうしても私情が入ってしまうので苦しい思いをする場面もも増えてしまいます。転職をしたからといってそのような人間関係の煩わしさから完全に解放されるわけではありませんが、心機一転、全ての環境を変えることも、長い看護師人生の中で必要な転機なのではないでしょうか。


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