
特に病院の看護師の仕事は、「インシデント・アクシデントとの戦い」と言っても過言ではありません。
そして残念ながら、各病棟や各病院ごとに念入りな対策をとっているにも関わらず、なかなかインシデントの数が減らないのが実態です。それは一体なぜなのでしょうか。
そこには、看護師1人1人がどう頑張っても防ぎきれない、どうしようもない背景があるようです。
看護師がインシデントを引き起こす背景

インシデントとは、医療従事者のミスによって、医療事故につながったかもしれない「行為」を指します。もっと簡単に言うと、医療事故の一歩手前です。
インシデントは、患者さんには影響を与えずに済んだ行為や行動、事件を指しますが、アクシデントになると医療事故になり患者さんに何かしらの影響が与えられます。
本来なら起きてはならないインシデントですが、なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。様々な原因が考えられるものの、その背景には「看護師のマンパワー不足」と、「高度な医療機器の増加」が考えられます。
マンパワー不足による疲労蓄積

看護師不足などによって看護師の仕事が多忙を極めるため疲労が蓄積してしまい、集中力などが低下することでイージーミスを起こしてしまうという背景があります。
医療事故につながるまでに、複数の人間が治療や診療に携わりますから、どこかで異変に気付き事前に食い止めたり予防することができます。
しかし、大きな医療事故を見てみると、複数のチェックが入るはずのところが抜けているために大きな事故につながってしまっていることが多い傾向にあります。このように、大きい事故の発端はイージーミスであることが多いのです。
高度な医療機器の増加

医療が進化したことで、高度な医療機器を操作することが看護師にも増えてきています。そのような医療機器を操作する機会が増えれば、その分医療事故につながる可能性も高くなってしまうのです。
このように様々な要因が重なったりしながらインシデントが引き起こされてしまっている状況があるのです。
看護師の代表的なインシデントの事例3つ

看護師の代表的なインシデントの事例としては以下の3つが挙げられます。
- 患者の転倒・転落
- 与薬にまつわる事故
- 患者取り違え
病棟から挙がるインシデント・アクシデントの大半はこの3つのどれかにまつわるものが、ほとんどなのではないでしょうか。
時に理不尽に感じる「転倒・転落事故」

転倒・転落事故で難しいのは、必ずしも看護師の責任と思えない場合もあることです。
ベッドから車椅子への移乗の際に転落させてしまったり、自分が介助していて転倒させてしまったりする場合は確かに看護師のミスです。
しかし、病院内で独歩の患者がつまずいて転んでしまったり、介助が必要な患者が、勝手にベッドから出て行ってしまい、降りる際や歩いているときに転落・転倒してしまう場合などは、それを看護師がインシデント報告するのは不条理に感じるかもしれません。
ただしここで覚えておいてほしいのは、本来、インシデント報告の目的は責任の所在を明確にしたり、責任を取らせるためにあるわけではないということです。
目的は、何度も同じことが起こってさらに大きな事故や命に関わる事故になる前に原因を取り除き、情報を共有してリスクを下げる方法を考えていくことです。
ベテラン看護師にも多い「与薬事故」

そもそも与薬は看護師の仕事の中でも頻度の多い行為ですし、常にインシデントの内容では上位を占める事例です。新人看護師はもちろん、忙しかったり、疲労が溜まっていたりすると、経験のある看護師でもありがちなミスです。
しかし、この与薬事故はインシデントの中でも、アクシデント(医療事故)につながる確率の高いものです。薬品名の間違いや、与薬分量や方法の間違いは、患者の命にまで影響が及ぶこともある、危険なミスです。
ですから、確認の徹底はもちろん、自分自身でも積極的に与薬や医療に関する知識を増やしていくのはインシデントを減らしていくために重要なポイントです。
時として取り返しがつかない「患者取り違え」

患者取り違えもよく起こるインシデントの一つです。同姓の患者が何人も同時期に入院していたり、さらに大変なときは同姓同名の患者が同時期にいることもあります。また病名や年齢が同じだけでも混乱することがあります。
このインシデントも取り返しのつかない事故になる可能性が大きいものです。スタッフ間の情報共有による危機意識を高めることや、病院によってはIT器具の導入でリスクを減らす努力がされています。
まとめ

看護師のインシデントを圧倒的に減らすには、マンパワー不足の解消が一番手っ取り早いように思います。
しかし、このご時世において、看護師のマンパワーを補うのは非常に大変なことです。
そのため、少しでもインシデントを減らしていくのは、やはり「1人1人の看護師にかかっている」ということになるのでしょう。患者が勝手に起こしてしまった転倒・転落事故を除けば、大体のインシデントは「いかなる時も正しい手順を踏んでいく」ことで防げるはずです。最近、インシデントが多いと感じる人は、今一度基本を見返すようにしましょう。


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