
病棟で働く看護師なら、患者さんの容態が急変し、緊急事態に陥ったという経験を持っている人も少なくないのではないでしょうか。
このような容態の急変ですが、実際は数時間前から、そのサインが出ていると言われています。
容態が急変することが予測できれば、患者さんを命の危険から守ることもできるため、急変予測ができること、きちんとした対応ができることは、看護師に求められるスキルということもできます。
1.容態が急変する前兆を見逃さない

患者さんの命に関わることというと、心肺停止などが頭に浮かぶと思います。心臓が止まってしまうことは、命の危険に晒され、素早い対処が必要になります。
一度心肺停止に陥れば、心拍再開ができても、その後の社会復帰に支障をきたすことがあります。心肺停止の前兆には、特に細心の注意が必要なわけです。
6〜8時間ほどまえに前兆が表れていることが多い

心肺停止に陥る患者さんの場合、その6〜8時間ほどまえに前兆が表れていることが多いようです。
とはいえ、なにがその前兆として表れるのかは、病症や患者さん個人によって違います。大切なのは「ちょっと変だな?」と思うことや、「いつもと違う」と思うことを心にとめること。
ラウンドの際に必ず確認するポイント

ラウンドの際に、患者さん自身が元気であっても、なんらかの変化はないか、探るようにすることが大切です。
例えば、
- 呼吸が荒い
- 脈が早い、遅い
- 胸が苦しそう
- 精神的にショックなことがあった
- 身体が重いなど、重症ではない不調を訴えている
などの変化があれば、ナースステーションのカンファレンスなどで共有しておいたほうがいいでしょう。
精神的に落ち込む出来事も影響を及ぼす

精神的に落ち込む出来事などがあっても、それが体調に変調をきたすきっかけになることがあります。
プライベートのことでも、「こんなことがあったみたい」と、念の為に看護師同士で情報交換をした方がいいかもしれません。
些細な変化でも他の看護師に共有する

看護師の場合、シフト制で働いていることが多いため、気に止まったことは些細な事でも、他の看護師に共有することが大切です。
今は安定していても、自身の退勤後に容態が変化することもあります。
患者さんの「大丈夫」を鵜呑みにしない

例えば、患者さんが少し息苦しそうにしていたとします。「大丈夫ですか?」と尋ねても、患者さんは「大丈夫です」と返すかもしれません。
「患者さんが大丈夫と言っているから大丈夫だろう」と判断するナースもいるかもしれませんが、これが落とし穴となって、後に急変する可能性もあります。
2.急変予測・急変対応をシミュレーションしておく

もし急変が予測できたとしても、その急変がいつやってくるかはわからないものです。
急変後の対応が遅ければ、予測ができても意味がありません。看護師の方は、いつでも急変を頭に入れて、シミュレーション学習しておくことをおすすめします。
これまでの急変した症例を頭に入れておこう

例えば、これまでの急変した症例などを頭に入れておくことも重要です。同じ病状の患者がいれば、これまでの症例をヒントに、急変予測することもできます。急変した後にどのような対応をすればいいのかまで頭に入れておき、実際に模擬体験できると、さらに安心でしょう。
患者さんは、24時間いつでも、容態が急変する可能性を秘めています。そのため、実践に近い訓練をしておくことはとても重要です。
病棟以外の場所で急変することも想定しておく

容態の急変はいつどこで起こるかわからないものです。病棟のベッドで急変する場合は、設備などもある程度整っており、ナースコールなどで応援も呼びやすいです。
しかし、これが病院のロビー、トイレ、廊下など、どこで起こるかはわからないものです。AEDの設置位置を頭に入れておくことももちろんですが、病棟以外で容態が急変した場合はどうしたらいいのか、さまざまな想定をしておくといいでしょう。
幅広い視野を持つことで急変に気付けるようになる

幅広い視野を持てば、患者の急変に気づけるようになったり、その後、容態を悪化させないための注意深い行動が取れるようになります。
いろんな面から患者を危険から守り、適切なアセスメントが行えるように日頃から考え続けることが、急変予測や対応力の向上には欠かせません。
3.看護師が急変に備え日頃から心がけること

いざというときにスムーズな対応ができるように、日頃から「いざ」というときの対応について、シミュレーションすることはとても大切です。しかし、行動を頭に思い描くだけでは、十分でないこともあります。
たとえば、「△△号室の◯◯さんの意識がありません。□□の可能性があるので、●●を持ってきてください」といったような指示を出したい場合、頭ではどんな状況で何が必要かわかっていても、流暢にセリフにできるかはわかりません。
短い言葉で的確に相手に指示を出す意識をしておく

緊急時には、短い言葉で的確に相手に指示を出す必要があります。そのため、日頃から伝わりやすい言い方などを意識しておくといいでしょう。
いざというとき口ごもってしまえば、仲間のナースに必要なことが伝わらず、アセスメントが遅れてしまう可能性もあります。
大きな声を出すことにも慣れておく

大きな声を出すことにも慣れておきましょう。ナースコールやPHSなどは、相手がどのような状態で聞いているかわかりません。音量が小さかったり、周囲の騒音でかき消されることもあるでしょう。そのため、大きな声で、ハキハキと、端的に指示を出すことを日頃から心がけてください。
患者の中には、耳が遠い高齢者や、難聴などで呼びかけに気づかない患者もいます。個々の患者の病症や身体の特徴などを把握し、容態急変時に活かせるように準備しておくことも大切です。
4.急変時の対応を見直そう

急変予測の知識をどれだけ蓄えていても、患者の容態の変化に気づけず、突然容態が変わってしまうこともあります。その際に大事になってくるのが、急変した後の対応です。
看護師として働くのであれば、アセスメント力は必須となります。ここでは、急変した際に看護師がやるべき対応をご紹介していきます。
急変時に必要となる物品について

急変時、どんなものが必要なのか、きちんと日頃から頭に入れておくことも大切です。
急変時には、
- ベッドサイドモニター
- 救急カート
- バッグバルブマスク
- AED
などが必要になります。もし、患者の病室にこのような機器がなければ、自身で用意し、同僚の看護師に要請する必要があります。
患者に近づき、状況を把握する

患者の容態の急変があったら、声掛けをしながら患者に近づきます。意識レベルを確認し、心電図のモニターなどを見ながら観察しましょう。この時、患者の病状や治療内容などの情報をもとに、「今どんな状態なのか」「今後、どんな急変が考えられるか」などの予測をしながら動くことが大切です。
意識がない、意識が薄れている状態にかかわらず、声掛けは必ずしましょう。名前を呼びながら、両肩を叩いて刺激すると効果的です。
ナースコール・PHSなどで応援を呼ぶ

もし、自分一人しか現場にいない場合は、ナースコールやPHSなどで応援を呼びましょう。
必要なものがあれば、その際に持ってくるように仲間に伝えます。モニター心電図などを装着していないようであれば、他の看護師や医師が到着するまでに装着することも必要になります。
胸骨圧迫をいち早く始める

心肺停止の際には、胸骨圧迫などの開始をいち早く始めることも大切です。心停止状態の場合は、とにかく時間との勝負になります。何事も円滑に対応できるように、手順を確認しておくことも大切です。
- 呼びかけ、呼吸の確認、回復体位にする
- 呼吸がなければ胸骨圧迫を始める
- AEDを使用し、回復しなければ胸骨圧迫を再開する
おおまかには、このような流れで進めていきます。
エアーマットは胸骨圧迫の効果を緩める

病院によっては、ベッドにエアーマットを使用している病院もあると思います。エアーマットは胸骨圧迫の効果を緩めてしまうため、胸骨圧迫の前に、緊急エアー抜きなどを行いましょう。
緊急時の対応は、病院によっても細かな手順が決まっていることが多いです。病院で研修やカンファレンスなどをすることもありますが、まずは、自分が動けるように、いつでも意識しておくことが重要です。
まとめ

異常と言えないまでも、「もしかして心停止に陥るかもしれない」という心づもりがあるかどうかで、急変後の対応が違ってくるものです。
観察することはナースの大切な仕事の一つですので、どんなことでも急変の可能性があるということを心にとめておきましょう。


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