
看護リフレクションという言葉を聞いたことがあるでしょうか。看護リフレクションとは、看護師と患者がやり取りを行った印象的な一場面を取り上げ、その場面を細かく振りながら自身の看護を見直す作業のことです。
ここでは看護リフレクションの方法やメリット、実践事例について触れていきます。
看護リフレクションの目的

看護リフレクションを行う目的は以下の通りです。
- 看護に関する研究の機会を増やす
- 患者に対しきめ細かい看護ケアを提供する
- 看護師が患者へのより深い理解力を培う
看護リフレクションを通して看護師自身の学びを深め、最終的には患者への看護ケアの質向上をはかることが目的です。
看護に関する研究の機会を増やす

看護リフレクションを行うことで、自身の看護を「研究」する機会が与えられるのです。実際、看護師は医師のように研究に関わりが少なく、看護研究をしている人もごく一部で、その研究内容のクオリティにも差があります。だからこそ、誰にでもすぐに研究に着手できる「看護リフレクション」は看護師が学びを深める上で重要なポジションを占めるのです。
患者に対しきめ細かい看護ケアを提供する

看護リフレクションでは、些細な事でも取り上げて、きめ細かい看護ケアを提供することにも繋がります。看護師はいつも臨床現場で働き、実例を前に働いています。成功やミスも、すべて実際の現場で目の当たりにしたことです。それらの経験材料を研究材料にして、よりよい看護をしていくために行うのが看護リフレクションです。
看護師が患者へのより深い理解力を培う

リフレクションの対象となるのは、「患者の心情がつかめなかった」「急に人間関係が悪化した」など、患者と看護師の関係に関するものがメインです。患者がどう思ったのか、感じたのかを考察し、より深い理解につながるための行動に繋げていきます。
患者と看護師の信頼関係は看護していく上でとても大切なものですが、それらの教科書だけでは汲み取れない、学べない事柄について考えていく場となるのです。
2.看護リフレクションの方法

看護リフレクションは、プロセスレコード(※書式は病院によって異なります)というものを記入しながら行います。一人で振り返ることもありますが、より効果を発揮させるためにグループワークとして行うことが多いです。
また、グループで行う場合は1人の看護師が事前にプロセスレコードを記入しておき、それを基に複数名の看護師が意見を出し合いグループワークを展開していきます。
まずは看護リフレクションのテーマを決める

看護リフレクションのテーマとなるものは、「その時どうすればいいかわからなかった」「いいと思ったことが、患者にとっては怒りや悲しみの対象になった」など、「どうするべきだったのか」と悩んでしまう答えの出てこないものをテーマとします。
プロセスレコードに沿って展開していく

看護リフレクションを行う際には、以下のようなプロセスを辿っていく必要があります。これに辿って記入するものが、先に紹介したプロセスレコードです。方法はいくつかありますので、実践してみてやりやすい、取り組みやすいものを選ぶといいでしょう。
参照にさせていただいたサイト:「ナースのヒント」
Goodman(1984年)のプロセスレコード
<レベル1> 事象が起きたときのことを鮮明に描写する
<レベル2> その行為の方向性と成り行きをアセスメント。そして、理論と実際に行った行為が合致していたかを振り返る
<レベル3> 看護の目的を改めて考え、正当性があったか等の問題を振り返る
Gibbs(1988年)のプロセスレコード
<記述・描写>何が起きたのかを細かに描写する
<感情>その時に何を思ったのか、感じたのか、考えたのかを振り返る
<評価>その体験の良かったこと、悪かったことを振り返る
<分析>そうなった原因を考え、状況から考えられる意味等を分析する
<総合>他に何ができたのかを改めて考察する
<行動計画>もし次に同じことが起きたらどんな対処をすればいいか考える
Johns(2000年)のプロセスレコード
<経験の説明>重要な要素を考察するために起こった事象を説明する
<リフレクション>自分がやろうとしたことと、その結果の関係はどうかを考える。結果が得られたのかどうか、相手の気持ちはどうだったかどうかなど。
<影響要因>内面、外面、知識などの事柄が、自分に及ぼした影響について考える
<回帰>他の方法がなかったのかを考察する
<学習>その経験で何が変わるか、何を感じたかを、科学的、道徳的、美学などの観点から多角的に変化した部分を考察する
起こった事象について詳しく説明することが求められる

どの方法を見ても、基本的には最初にどのような事象が起こったのかの説明が求められます。詳しく説明することで、その事象ならではの原因や要因、気付かずにミスをしてしまった理由などが浮き彫りになってくるでしょう。
そして、他の手がなかったのかを考えることで、次に同じようなことが起こっても行動の選択を広げることができます。学習することで、次の臨床現場ではよりよい行動が取れるようになるのです。
3.看護リフレクションのメリット

看護リフレクションは、日常で起こったことをもとにみんなで検討し、より良い看護のための模索をしていく行為です。
普段は気にしたことがなかったけれど、改めて考えたほうがいいのではないかと意識を向ける役割もあります。
普段は気付かない問題点をあぶりだすことができる

看護リフレクションの対象となる議題は、「相手はどう思ったのか」というところを知る行為になります。意思疎通に行き違いがあっただけ、言い方が悪かったなど、考察することで普段は気付かない直問題点があぶり出されてきます。
教科書では学べないスキルが磨かれる

看護リフレクションは、同じように看護師として働く人が集まって行うものです。
「こういう患者の場合はこう言うといい」など、経験があるからこそ出てくる意見やアドバイスもあります。教科書では学べないコミュニケーションについてもスキルも、磨かれるメリットがあるでしょう。
1人の患者に対する様々な見解が聞ける

人の気持ちは、一人ではなかなかわからないことです。「(患者に対し)私はこう思ったんだけど」と一人が言えば、「私はそう言われたら傷つく」など、180度違う意見もできて、1人の患者に対する様々な見解を聞くことができます。そうすることで、「そう思う人もいるんだ」ということを知り、「その場合はこう言いえばいいと思う」などのアドバイスまでを一貫して学ぶことができるのです。
まとめ

これらの看護リフレクションをすべての病院などで行えればいいのですが、なかなか難しいのが現状でしょう。人手不足の病院等では、研修などに時間を割けない実態もあります。
ただ、看護リフレクションは過去に経験したことを振り返る行為ですし、その時の状況を細かく記載して振り返っていくので、同じ病院でなくとも行うことができます。
グループワークセミナーも活用してみよう

最近では、グループワークセミナーども開催されているので、個人でそういったセミナーに参加してみるのがいいでしょう。
院内で組織的に行うことはまだまだ難しい病院が多いため、自分自身で動いてみることをおすすめします。


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