
私は約5年間大学病院などの小児科病棟で勤務した後、15年のブランクを経て、近所にある地域医療をメインに掲げた中規模病院の療養病棟に就職しました。
そこでさまざま大変な思いをしたので、今回は体験談としてどんなことに苦労したか紹介します。
1.どうして療養病棟への転職で苦労したのか

当時、看護師として15年もブランクがあったにも関わらず、地元病院の療養病棟への転職で、無知と思い込みによるいくつかの理由がありました。
ここではどうして転職で苦労する羽目になったのか、振り返りながらお話ししていきます。
看護技術に自信が無いのに下調べをしないで転職をした

15年も看護師を休んでいたにも関わらず突然復職を考えたのは、当時それなりに切羽詰った事情がありました。もちろん看護技術には全く自信が無い状態です。
そのため良い条件のところを探すと言うよりは、どこなら雇ってくれるのだろう、という考えで下調べもろくにせずに転職先を探しました。
ちなみに私は、療養病棟の後に就職した介護老人保健施設でも勝手なイメージだけで選んで失敗しています。
復職を考えておらず看護の雑誌や教科書も取って置かなかった

復職することなど全く考えていなかった私は、看護学校の教科書やら、勉強のために集めた雑誌のムックなども一切取って置くこともなかったのです。
そのため、子どもを初めて沐浴させたとき以外には、看護学校で習ったことを思い出すような機会もありませんでした。
思い込みだけで小児科への転職は難しいと判断してしまった

看護技術に自信もなく、看護学校時代の学習物すら手元にない私が、10年以上も進歩を続けた小児科に戻っていくのはきっと困難だろうと思っていました。
くわえて、看護師の転職先としても人気が高い小児科に、30代後半で入れてもらえるとも思えませんでした。きちんと下調べすることを知らなかった結果です。
安易な認識だけで療養病棟への転職を考えた

療養病棟への転職を考えた理由は、「老人がのんびりと療養する施設ならブランクがあっても入れてもらえるんじゃないか」と安易な認識を抱いていたからです。
そんな認識は、入ってから大間違いだと気付くのですが、「あなたのような人材がまだ眠っていたのね」などという面接の場の歓迎の言葉にも舞い上がってしまっていたのです。
ブランクにより看護技術に自信のなかった私は、歓迎され過ぎておかしい、などという考えには全く至りませんでした。
2.療養病棟へ転職して苦労したこと

この復職をきっかけに最初から看護技術を覚えなおそうと覚悟は出来たつもりでしたが、私の場合は15年ものブランクがあったことよりも、小児科の経験しかなかったことがハードルをさらに高いものにしていたように思います。
採血意外は一度も経験したことない業務だったこと

療養病棟に入職して、やはり一番苦労したのは看護技術が不足していることです。
私には、ブランク前に5年間の臨床経験がありましたが、再就職の時点で採血だけは経験があったものの、点滴はもとより、胃チューブの挿入、尿道カテーテルの挿入、インシュリンなどの注射、グリセリン浣腸に至るまで、一度も経験したことがなかったのです。
小児科では療養病棟で行う業務は経験してこなかった
小児科で働いていた時は、採血以外の処置は医師としてデビューしたてのレジデントの仕事でした。看護師は一緒に処置に入り、物品の準備や片付け、挿入したチューブなどの固定、子どもをなだめたり時には押さえたり、ということを担当していたのです。
小児と成人では使用する薬品が違うこと

小児科の業務の中で、ルンバールやマルクに付いたり、抗がん剤を準備したりと言ったこともやらせてもらいましたが、そうした技術が今に繋がっているかと言われれば、微妙なところだと思います。
結構な場数をこなした緊急時の対応も、小児と成人では、使う薬品から違ってきてしまいます。
復帰最初の採血が運よくうまくいき次からフォローが無かったこと

療養病棟に就職するにあたり、技術面に不安があることは面接時にはきちんと伝えてありました。なのでフォローがあることも伝えられていました。
しかし、復帰最初の採血で運よく血管をとらえることができたこともあって、ブランクはあるけれど仕事はできる看護師として認識されてしまい、次からフォローなしで業務に就きました。
3.看護師技術を学び直した方法を紹介

ブランクを埋めるためにも、初めはどんな処置に関しても「見て覚えよう」と心がけるようにしました。例えばグリセリン浣腸もそのひとつです。
浣腸を行う看護師から「浣腸の方法もわからないのか」とつぶやかれたりもしましたが、「ない」とは答えられる空気でもなかったため「一度確認をしたいので見せてください」と頭を下げて見学をしました。
市販の看護技術本を購入して勉強を始めた

入職して半年くらい経って初めて胃チューブ挿入の機会が回ってきたころには、もはや、やったことありませんとは言えなくなっていました。
そこで私が何に頼ったかというと、看護技術の市販本でした。看護技術本は少し大きめの書店の医学書コーナーに行けばたくさん置いてあります。
新人看護師向けの看護技術本はおすすめ

私が愛読していたのはメディックメディア社の、「看護技術が見える(2)臨床看護技術」という、おそらくは新人看護師向けに編纂されたシリーズです。写真がふんだんに使われ、細かい解説付き、多数の失敗例付きなので、とてもわかりやすい本でした。
ポイント!
私はこれでしっかり予習をして、人生初の胃チューブの挿入と尿道バルーンカテーテルの挿入は、誰にも見届けられずに一人で淡々と実施しました。
4.療養病棟で数年働き感じたこと

私は何も知らなかったために、図らずも基礎から技術を学び直すことになったわけですが、数年後に指導する立場になった時に、私よりずっと経験の豊富なベテラン枠の方々が、基礎の部分が意外といい加減なことを知って驚きました。
簡単な手技は適当に覚えているベテラン看護師が多い

ベテランと呼ばれる看護師にはペン型注入器を使ったインシュリン注射など、簡単な手技だけに適当に覚えている方が何人もいました。しかし私のような、にわか指導者が指摘しても聞く耳は持ってもらえません。そんな時は看護技術本の該当ページをコピーして、正しい技術を理解してもらうように務めました。
ポイント!
基本的にベテラン看護師と呼ばれる方の多くは、経験というプライドが邪魔をして聞く耳は持ってもらえません。
うろ覚えの技術を教わるなら独学で学ぶことが良い

うろ覚えの技術をおそわるくらいなら、独学でもきちんと学んだ方がいい、そう思います。
悪しき習慣がいつまでも受け継がれることになってしまうかもしれませんから。
正確な技術だけでなくその根拠も理解することが大事

自信のない時にはもちろん、きちんと聞くようにしていました。
しかし、正確な技術もさることながら、ちゃんと根拠がわかっていることが大事だな、というのが人に教えるようにもなって身に染みた実感です。
まとめ

小児科から成人領域へ移行するのには、このほかにも様々な苦労があると思いますが、まずはどうしても小児科で働きたい、という方も多いと思います。
私は実際に苦労した身なので、あまりおすすめはできないのですが、どうしても小児科でやりたいことがある場合は良いとも思います。看護師には小児科から成人へずっと移行しない、という選択肢を取る人もいます。
ただ、看護師という職業なのでどこで働いても大変なことは変わりません。今ではブランクがあっても療養病棟で頑張って良かったと感じています。


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